工場などの大きな煙突について、建てたら建てっぱなしということではありません。定期的に清掃が行われ、設備をきれいにしています。
汚れをほうっておくと、すすが外に出てしまいます。
すすとは、有機物が不完全燃焼を起こしたときに発生する炭素の微粒子のことです。ほかに、きめの細かい埃のことを指す場合もあります。
すすが外に出ると、いろんなものに降り注ぎます。洗濯物を汚してしまう危険性もあります。ほうっておくと環境によくありません。
煙突工事は、カラーデザインも含めて、周囲の環境に溶け込むような設備を考えて実施されます。周囲の環境を大切にして設備を使用することが大切なのです。
つまり、定期的に清掃をして、すすが周りに飛んでいかないように気をつけなくてはなりません。
ここからは、大きな煙突をどのようにして清掃するのか、清掃方法についてご紹介いたします。
清掃には、大きく分けて、水を使用する方法と使用しない方法があります。
水を使用する方法としては、高圧水洗浄が挙げられます。
高圧水洗浄は、ご家庭でも屋根や外壁などを清掃する際に用いられることがあるでしょう。高圧水発生装置で水を加圧し、ノズルから噴射します。このときの衝撃力によって汚れを落とします。
円筒の内部に入り、円筒の内部にこびりついたすすなどを、高圧水で洗い落とします。圧力は50kg/cmという強さです。高圧水の衝撃に耐えうる箇所について、高圧水洗浄を行います。
また、清掃中に円筒内部を見て回ることができるので、劣化している箇所を発見することができます。清掃は、ただきれいにするだけではなく、点検にもなるのです。
どんな設備でも高圧水洗浄ができるわけではありません。
ビル付属の設備や、排水設備がついていないものについては、水を使わない清掃方法を選択します。
水を使用しない清掃方法として、まず、ホウキによる清掃方法が挙げられます。円筒内部に入り、ホウキで壁を掃除していきます。
円筒内部に入ることができない場合、大型ブラシを使って清掃します。こちらも水を使用することができない場合の方法です。人が円筒内部に入ることができないという基準としては、内径600mm以下となっています。
大型ブラシの見た目は、ウニのようにブラシの毛が広がっています。円筒の内径にちょうど合うような大きさで、球型となっています。球型のブラシを円筒内部に挿入し、上下に動かすことによってすすを取り除きます。すすによって黒くなっている部分をブラシでこすることによって、円筒内部の本来の色が見えてきます。
高圧水洗浄によっても落ちないほど汚れがひどい場合は、ケレン清掃を行います。研磨による清掃のため、鋼板製の場合は表面に傷をつける可能性があるので、コンクリート製のみに適用されます。
ケレンとは、ワイヤーブラシなどを用いて汚れやサビを落とす方法です。ご家庭の外壁塗装などでも、汚れを落とすときにケレンが行われることがあります。ご家庭の壁の場合、汚れが軽いものならば、紙ヤスリを使って磨いて落とすことができます。
ワイヤーブラシは、ご家庭の壁の汚れを落とすときにもよく用いられる道具ですが、煙突清掃の場合にも用いられます。ご家庭でも使用できるものなので、インターネットの通販サイトなどでも購入することが可能です。
ワイヤーブラシにもいろいろな種類があり、円盤型やカップ型、傘型などさまざまな形があります。
ほかに、ディスクサンダーという道具を用います。ディスクグラインダーと呼ばれる場合もあります。サンダーとはやすりなどで磨くという意味で、グラインダーは円盤形の砥石を使って研磨すること・削ることを意味します。
ワイヤーブラシやディスクサンダーで研磨すると、汚れが取り除かれ、円筒の見た目も明るくなります。頑固なすすもしっかり落とすことができます。円筒外部の汚れにもしっかりと対応します。
設備は内部の清掃だけではなく、外部の清掃ももちろん行われます。大きな機械を使うことなく、工具を用いて、人の手できれいにしていきます。高いところでの作業が多いですが、安全対策をしっかり行った上で清掃します。
ほかに、内部の清掃方法については、ブラスト法と呼ばれる方法があります。砂や研磨剤を吹き付けてきれいにしていく方法です。
以上のように、さまざまな清掃方法によって設備をきれいに保ちます。きれいに保つことは、劣化を防ぐことにもなるでしょう。劣化部分の早期発見にもつながるため、大きな煙突工事をすることなく設備を保っていくことも可能なはずです。
新設の煙突工事をしたときには、もちろん、カラーも美しくきれいな状態の設備だったことでしょう。しかし、使い続ければどうしても汚れがついてしまうものです。汚れをほうっておくと、設備そのものも劣化し、周囲の景観も損ねることになります。
設備の清掃をきちんと行い、見た目のきれいさを保つこともまた、周囲の環境に配慮する上で大切なことだといえるでしょう。

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