煙突の解体工事の方法については、人力ブレーカー解体や重機解体、引き倒し解体など、さまざまな方法があります。工法は、立地場所や工期、費用などの条件によって変化します。
人力解体は、名前のとおり人力で解体作業を行っていきます。内部に積み上げられた煉瓦をハンマーやバールなどで解体していきます。径が大きいときには、作業員を増やして効率を上げます。
重機による解体が難しい高所では、ブレーカーを用いて人力解体を行います。人力解体のメリットは、作業中にコンクリート片が落下することを防ぐことです。ただし、工期が長くなることと、騒音が発生するというデメリットもあります。
騒音の発生を少なくする解体方法もあります。ハンドクラッシャーを用いた人力解体です。周辺に病院や学校といった施設があるような、騒音を出せないところではハンドクラッシャーを用いた解体方法が適しているでしょう。
解体のための煙突工事では、地上から10メートル~15メートルほどの高さから下方は重機での解体を行うことができます。それよりも高い位置については、人力解体を行います。
重機を用いると、コンクリートを一度にたくさん解体することができます。重機による解体は、非常に作業能率が良く、短い工期で解体を進めることが可能です。
煙突の周囲に、クレーンを阻むものがなければ、クレーンを近づけて解体することができます。クレーンを近づけることによって、頂部からすべて重機で解体作業を行うことが可能です。
すべてを重機で解体すると、人力解体と重機解体の両方を採用する場合よりも短期間で解体することができます。
ただし、上部を崩したときにコンクリート片が落下してくるため、充分な養生と作業場所を確保して行わなくてはなりません。
解体には、ワイヤーソー機械を用いる方法もあります。使用するワイヤーは、ダイヤモンド入りの非常に強いものです。ワイヤーを高速回転させて、コンクリートを切断することができます。
コンクリートをワイヤーで輪切りにしていき、クレーンで地上に降ろします。そして、重機で解体していきます。解体ガラは場外に運搬し、産業廃棄物許可業者に委託して処分します。その場で重機解体を行わない場合は、輪切りにした状態のまま処分地に運び、数本まとめて重機で解体します。
ワイヤーソー機械を用いると、工期を短縮することが可能です。
ただし、ワイヤーソー機械を用いるにはいくつか条件があります。
まず、すべて重機で解体する場合と同じく、クレーンを近くまで寄せる必要があります。クレーンで輪切りにしたコンクリートを降ろしていかなくてはならないからです。
次に、煙突が劣化していてはワイヤーソー機械を用いることはできません。劣化がひどいと、クレーンで降ろす最中に崩れてコンクリート片が落下する危険性があるためです。コンクリートの落下は、非常に危険なことです。あらかじめ予測できる場合は、それに対応した配置や作業を行うことができますが、予測できない場合は大きな事故に繋がることがあります。
解体のための煙突工事には、引き倒し解体を行う場合があります。下部の片側を解体しておき、ワイヤーで引っ張って倒します。根元から折るようなイメージです。そのあと、重機を用いて解体します。
引き倒し解体は、もっとも工期を短くすることができる方法です。しかし、騒音や粉塵の量もまた著しいです。騒音や粉塵についても考慮して、充分な作業場所を確保しなくてはなりません。
解体方法を決めるうえで、周辺環境の調査はとても大切です。近接設備の有無によっても、重機の使用状況が変わります。周辺にビルや住宅などがあると、騒音などにも気を遣うことになるでしょう。また、工事の安全性を考える上でも、周辺環境の確認は大切です。
周辺環境によって、解体方法の選択肢は限られていきます。
さらに、工期をできる限り短縮したいと考えたとき、解体方法の選択肢の優先順位が決まってくるでしょう。周辺環境に考慮しながら、最短で解体工事を行う方法が見えてくるはずです。
しかし、ときに費用がネックになることもあるでしょう。工事を行うときは、あらかじめ予算を考えているはずです。最善と思われる方法が、予算内の費用で行うことができるならば問題はありません。ところが、予算オーバーとなると、解体方法を見直す必要が出てきます。
もちろん、煙突工事の規模によっても費用は変わってくるでしょう。大きな設備であればあるほど、作業量は増えます。必然的に費用も大きくなるでしょう。
基本的に、解体工事を行う業者が現地調査を行い、依頼主に解体方法と見積もりを提案します。そして、依頼主が納得できる解体方法に決定して、工事を行います。
依頼主は、具体的に予算や工期の希望などを伝えておくと、スムーズに話し合いが進むでしょう。
解体工事を行う業者は、依頼主の要望に応え、安全に工事を行っていくことが大切です。どのような工事においても、最後の最後まで、安全を守ることが重要なのです。

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