「煙突」の材質は様々なものがあります。

日本煙突業協会資料によると、煙突が現代の形の様になったのは明治初期の頃でイギリスで発生した産業革命の波が日本にも押し寄せ、家内工業的な手作業が動力により機械化されたことがきっかけとなった様です。その当時は赤煉瓦による煙突が数多く建設されました。明治後期頃(1900年)には日本に於いてもポルトランドセメントが使用されはじめ鉄筋コンクリート造の煙突が建設された様です。また発祥の年は不明で推測になりますが大正後期から昭和初期にかけて鋼板製の煙突が建設されたものと思われます。昭和20年代後期から30年代の戦後高度成長期には排ガスの腐蝕環境に耐えうる材料としてFRP製の煙突も建設され、内部ライニング材としてキャスタブルも使用されはじめました。また非常用発電などの高温排ガスに耐えられる成型ライニング材も使用されはじめました。更に既設煙突の補強材として平成初期から炭素繊維が使用される様になりました。近年ではごみ焼却場煙突を主体として外筒部分が成形セメント板、内筒は耐腐蝕鋼などが使用される様になりました。

高度経済成長期には独立型煙突では鉄筋コンクリート製、内部煉瓦式煙突が数多く建設され60m~150m位の高さでは支枠型鋼板製集合煙突も多く建設されました。以前は高さ20m程度の独立型煙突でも鉄筋コンクリート製煙突が多く建設されましたが、近年では高さ50m程度までの独立型煙突は鋼板製となることが圧倒的に多くなってきています(50m超の鋼鈑製煙突では支枠型とするのが一般的です)鉄筋コンクリート製煙突は材料自体は安価ですが工期がかかること、現場作業員が多く必要であること、品質管理が鋼板製に比べ難しいという欠点があります。一方で鋼板製煙突は鉄筋コンクリート製煙突に比べ工期が短い、現場作業員が少ない、品質管理がし易いという利点があります。以前は排ガス中の腐蝕成分も多く耐久性の観点から鋼板製煙突が採用されない場合もありましたが、排ガスのクリーン化、排ガス量の減少、ステンレス材の建築基準法採用、腐蝕環境に強い塗料の開発などといった要因によって採用される例が多くなってきています。

日本に現代の形の様な煙突が建設されてから、およそ120年以上経ちました。

時代背景の変遷に伴い煙突も変わってきています。

これからの煙突はどの様になっていくのでしょうか?

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